引っ越しの作業をしてくれる人たちにねぎらいの意味を込めて、金銭を渡す“心づけ”。昔からの慣習として知られるが、そもそも必ずしも必要なものではなく、引っ越し業者の多くが公式サイト上で「心づけは必要ありません」と明記している。今となっては、心づけを渡す年配者の姿を見たり、「昔は当たり前だった」という話を聞いたりして、驚きを隠せない若者も多いようだ。
「少しでも安くなる業者を選んだのに…」
メーカー勤務の20代女性・Aさんは、実家の引っ越しの際、母親の業者への対応に驚いたと明かす。
「作業員さんが4人ぐらい来てくれたのですが、明らかに働かない人がいるんです(笑)。それでも母はペットボトルのお茶を何本も差し入れし、最後に作業のリーダー格みたいな人に何か封筒を渡していたんです。何か聞いたら、チップ的なものだという説明でしたが、正直働かない人がいるせいで時間もムダにかかったのに……と、怒りさえ覚えました」
引っ越し業者に心づけを渡す行為を、Aさんは「理解できない」と首を傾げる。
「いろいろな引っ越し業者に見積りを取って、少しでも安いところを選んだのに、心づけを渡したら意味がないと思うんです。引っ越し料金には人件費が含まれているんだから、わざわざ追加でこちらが差し入れという形で経費を負担し、さらにお金を渡す意味がわかりません」(Aさん)
次のページ:一期一会の人に渡すメリットはあるのか