背景には、日本の労働市場が空前の人手不足を迎えている現状があります。現在、団塊世代を中心に毎年200万人前後が完全リタイアしていく一方で、新社会人の若い労働人口は100万人ずつしか増えません。とくに地方の労働力不足は深刻で、地方の経済同友会の方などに話を伺うと、「年齢は問わないから働きに来てほしい」とおっしゃいます。
つまり、還暦を超えた経験やスキルが求められているとも言える。働き手にとっては刺激や生き甲斐になりますし、何より、長く働くことで「健康寿命」の増進にも繋がります。
加齢に伴って深刻になるのが認知症の問題で、家族など周りの人に負担をかけてしまいますが、毎日家でダラダラするのではなく、働き続けていれば発症リスクの軽減にも繋がるでしょう。
僕は60歳でライフネット生命を開業し、70歳で立命館アジア太平洋大学の学長に就任したので、「還暦ベンチャー、古希学長」と呼ばれました。3年前に脳出血で倒れてからはリハビリに励み、今でも仕事を続けています。大病を患っても働き続けられるケースは例外かもしれませんが、僕は以前から、「60歳以降は、朝起きて体調がよければ出社して、しんどくなれば休めばいい」と指摘しています。
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