今年に入ってから、人気お笑いコンビの解散報道が目立つ。実力派漫才師として人気を博した「和牛」、女性コンビの「尼神インター」、そして今月には関西の劇場で活躍する、よしもとの若手女性コンビ「ハイツ友の会」が解散を発表した。
ハイツ友の会は、NSC大阪校41期出身の同期によるコンビで、シュールな掛け合いと独特の間合いで笑いを取る人気コンビだった。解散発表に際してSNSで話題を呼んだのが、メンバー・西野による解散発表コメントだった。
西野は、自身のXでファンに向けて感謝を伝えるなかで、「本当に“お笑い”が好きな男性もありがとうございました」という一文を添えた。これが「見た目で芸人を判断する男性ファンに苦しめられていたのでは?」と憶測を呼び、SNSではお笑い芸人の「顔ファン」論争に発展。芸人がSNSやラジオなどを通じてさまざまな意見を投じた。
顔ファンとは、お笑い芸人に限らず、パフォーマンスそのものよりも、ビジュアルや雰囲気、キャラクターなどを愛好するファンのこと。お笑い芸人のジャンルでは、以前から芸の中身よりも、アイドル的に芸人を消費する「ワーキャー」系のファンの存在が指摘されてきたが、顔ファンもそこに含まれる。
SNSでは何かと批判されがちな存在だが、「顔ファン」を自認するファンたちは、実際にどのような感情で芸人を応援しているのだろうか。本音を聞いた。
関西の若手芸人はファンとの距離感が近い
大阪在住の会社員女性・Aさん(25歳)は、大学時代から若手芸人の「顔ファン」をしているという。
「大学時代、通学コースの途中に劇場があったので、学校帰りに通うようになりました。コロナ禍も暇だったので、劇場にしょっちゅう足を運んでいて、そのなかで好みのビジュアルの芸人さんを見つけた感じですね。SNSをすべてフォローして、他のファンの方が発信しているTikTokのまとめ動画を見たり、画像を保存したり(笑)。普通の男性アイドルを推している感覚と同じだと思います」(Aさん)
Aさんによれば、関西の劇場で活動する若手芸人はファンとの距離感が近く、それによってアイドル的な「追っかけ」もしやすいと言う。
「解散直前の和牛とか、M-1直後の霜降り明星くらいのレベルになると、出待ちでもなかなか話せないですが、劇場に出始めた若手芸人だと普通に劇場の外で話してくれますし、ツーショットも撮ってくれるんですよ。それにミナミ(大阪の難波エリア)では、街中で普通に芸人さんに会えるので、より親近感が湧きやすいんです。
インスタでDMを送ると丁寧に返事をしてくれる芸人さんもいます。個人的に男性アイドルのようなイケメンは、ちょっと近づきがたい面もある。でも、好みのビジュアルの芸人さんは、より彼氏感があるというか、リアコ(リアルに恋してしまうこと)になりやすいんですよ(笑)」(Aさん)