「デジタル暴力」は「デジタル性暴力」とも結びつきやすい
デートDVの「デジタル暴力」は、「デジタル性暴力」とかかわりが深い。とくに多いのが「セクストーション(性的脅迫)」と呼ばれるもので、性的な画像などを送らせたり、それをネタに相手を脅したりする行為をいう。
以前交際していた彼氏から、その被害に遭ったという女子学生・Bさん(20代)は、こう話す。
「元カレと仲が良かったときに、性的な画像を撮ってしまったことがあります。その後、ケンカが絶えず、普段からモラハラ的な言動が多かったこともあり、『別れたい』と告げました。そしたら、『どうせ他に好きな男ができたんだろ』などと怒鳴られ、その際に『お前の写真とか、LINEとか、全部サークルのメンバーに見せるから』と脅迫されたんです。
本当に情報をばら撒かれるのではないかと怖くなり、そこから『やっぱりもう少し付き合おう』と関係を継続してしまった。その間も、自分の写真やLINEを他の男子学生に回されているんじゃないかと不安で仕方がなかったです」(Bさん)
盗撮された画像がインスタのストーリーで晒される
束縛行為が加速し、デジタル暴力につながっていくケースもある。私立大学に通っている男子学生のBさん(20代)は、SNS上で被害に遭った一人だ。
「彼女の束縛がひどく、大学の授業もすべて一緒に履修登録し、同じ授業を隣の席で受けることを強要されていました。これは面倒ではあったけれど、『かわいいな、俺のことが好きなんだな』くらいに思っていたんです。ただ、そんな束縛行為が加速していき、インスタグラムのストーリーに俺の写真を勝手にアップするようになった。家にいるとき、風呂に入っているとき、ディズニーに遊びに行ったとき。すべて許可なく盗撮されて、コメント付きでストーリーにアップされたんです。
それを『やめてほしい』と頼んだら、『私と付き合ってることを隠したいのか?』と激怒されて……。ケンカすると、今度は俺からは見えない設定にして、インスタの“親しい友達”(ストーリーズを特定のアカウントのみにシェアする機能)に向けて、俺の悪口や言動を載せるようになったんですよ。同じサークルの友達に『お前の彼女こんなこと書いてるよ』と教えてもらって、さすがにこれはおかしいと思って別れることにしました。これもデートDV、暴力だったんだなと今なら気付きますが、当時はただ彼女のワガママだと思っていたんです」(Bさん)
恋人間の暴力行為は、目に見えるものばかりではない。スマホを持ち、複数のSNSを使うデジタルネイティブ世代にとって、「愛情」や「束縛」のつもりで行った行為も「デジタル暴力」に該当する場合がある。男女問わず、自身が被害者にも加害者にもならないような注意が必要だろう。