藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

“現物取引派”でも知っておきたい信用取引の仕組み 「信用倍率」をチェックすることでわかる銘柄の「買い圧力」と「売り圧力」

現物株オンリー派でも信用取引動向をチェックすべき理由

 じつは、現物株オンリーと決めている人でも、信用取引の動向は気にしておいたほうがよいのです。というのも、信用取引の動向によって、株価に影響を与えることがわりとよくあるからです。

 チェックしたいのは、信用(貸借)倍率。これは、証券会社で注文をする際の画面にも記載されていますし、株探などのポータルサイトでも、銘柄を検索した際に出てくる画面上部の基本情報に掲載されています。

 信用倍率は、信用の買い残高を信用の売り残高で割ったもので、これが1倍を割っていると需給がよい、つまり上がりやすいと考えられます。信用の買い残高というのは、信用取引で株を買っていて、まだ返済の売りが行われていない株数、信用の売り残高は、信用取引で株を売っているけど、まだ買い戻しを行なっていない株数です。

 信用取引では、買った場合は売り、売った場合は買い、の反対売買を必ず行わなければいけません。そのため、信用の買い残高→将来の売り圧力、信用の売り残高→将来の買い圧力となります。信用倍率が1倍を割れるということは、信用の売り残高のほうが、信用の買い残高より多い状態なので、将来の買い圧力のほうが大きい=上がりやすい、といったことになります。

 信用で売っている人は、株価が上がると損失になるので、上がり始めると心理的に追い込まれます。株価の上昇には、ここまで!といった制限がないので、早めに買い戻そうとすると、買いが買いを呼んで、さらに株価が上昇します。これを「踏み上げ」と呼びます。

 こういった状態は、株を買っている人にとっては大歓迎です。自分の保有株や、これから買おうか迷っている株に関しては、信用倍率が1倍割れはウェルカムな状況です。逆に信用倍率が高い場合は、株価が上がりにくいと考えられるので、これから買うのは少し待ったほうがよいと判断できます。

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