ASF独自開発の「自走事故防止機能」は重宝する装備
さて次は走りの質感です。最高出力41PS、最大トルク120Nmのモーターで後輪を駆動するBEVらしく、加速も減速もスムーズで、アクセル操作に対するレスポンスは心地いい感じです。乗用車ではないため遮音対策は十分ではなく、タイヤなどから発生する走行音はそれなりに入ってきますが、それでもインパネ周辺からのビビり音などもなく、我慢できる範囲で走れ、スタートからBEVらしく静々と滑らかに加速します。
ただ、ここで感じたのは、BEVらしい強烈な加速感が希薄なこと。もたついた感じということではないのですが、実はここにも配送用の軽バンとして「急発進などによる荷崩れを防ぐための味つけ」という配慮がありました。一般路では穏やかな加速感とスムーズな走行感とともにドライブできます。さらにフロア下に重量のある駆動用リチウムイオンバッテリーが積まれ、低重心となっています。全高が1,950mmもあるASF2.0ですが、コーナーでは左右に大きく傾く(ロール)ことも少なく、意外なほどスムーズにコーナーをクリアできるので、安心感もあります。
一方、高速道路や郊外路の比較的速度域の高い道路では、静かに高速クルージングというのは少しきついかもしれません。前述しましたが、遮音や防音のための装備は乗用車のレベルではありませんから、速度が上がるほど走行時の風切り音やタイヤの走行ノイズもそれなりに入って来るのです。もちろん助手席の人と会話を楽しんだり、音楽を聴くことは普通にできるのですが、軽バンということで言えば静粛性の高さを評価するようなレベルではないことを納得する必要があります。とくに高速走行での騒音については、苦手項目かもしれません。
走り終えたところで、ASF独自開発の「自走事故防止機能」を試すため、Dレンジに入れたままシートベルトを外し、ドアを開けてみました。すると自動的にPレンジに入ります。本来は配送ドライバーが忙しさの中で、思わずやってしまうようなケアレスミスに対応する安全装備です。これも一般ドライバーでもやりがちなミスだけに重宝する装備です。