つみたてNISAは非課税期間が終了してもすぐに売却する必要はない
最後に、2023年までにつみたてNISAで投資した分の出口戦略について知っておきましょう。
つみたてNISAは積立をした年から20年の非課税期間が終了するまでは、どのタイミングで売却しても、利益に税金がかかりません。
ただ必ずしも非課税期間が終わるまでに売却する必要はなく、非課税期間の終了時に保有していた商品は自動で課税口座に移ります。
「税金がかかる口座に移ったら、NISA口座の意味がないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
たとえば、非課税期間の終了時点で値上がりしているケースを見てみましょう。ある年につみたてNISA口座で投資信託を40万円積立したとして、20年後に100万円に増えたとします。
そうすると、運用していた投資信託は非課税期間の終了時点でつみたてNISA口座から課税口座に移りますが、その際の価格(時価)が新しい取得価格になります。つまり40万円で購入した投資信託は、課税口座に移る際に100万円で購入したものとなるので、非課税期間で増えた60万円には税金がかかりません。ただし、課税口座に移った後に増えた利益については課税されるので、その点は注意しましょう。
これを踏まえて、つみたてNISAの出口戦略を整理します。
非課税期間終了時に、すぐにお金を使う予定がなければ課税口座に移った後もそのまま運用を続けるといいでしょう。新NISAの非課税枠に空きがあるならば、いったん売却して、新NISAで改めて投資する形でもOKです。
その上で、子どもの大学費用など家族のライフイベントで必要になった分だけ都度売却するか、老後が近づいたら少しずつ売却して生活費に充てるのがおすすめです。
新NISAの出口戦略と考え方は同じですね。このように、つみたてNISAの出口戦略はシンプルでOKなので、つみたてNISA口座で投資している人は、将来を楽しみに運用しておきましょう。
いかがでしょうか。新NISA開始によって悩みがちな、つみたてNISAのよくある疑問はこれで解決できたと思います。ぜひ、つみたてNISAの分はそのまま、じっくりと運用を続けていきましょう!
【プロフィール】
小林亮平(こばやし・りょうへい)/1989年生まれ。横浜国立大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。同行退社後、ブログやSNSでNISAやiDeCoなど資産運用の入門知識を発信。現在はYouTube「BANK ACADEMY」の運営に注力しており、YouTubeのチャンネル登録者数は70万人を超える。「超初心者でも理解できるよう優しく伝える」をモットーに、自作のイラストを駆使した丁寧な解説が好評を得ている。新刊『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)が発売中。