5月の大型連休が明けると3月期決算の企業の本決算発表が相次ぐ。そもそも3月期決算の企業が多いのはなぜか。また、決算内容はどのように分析すればよいのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第91回は、「企業の決算時期」について。
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上場企業は、3ヶ月ごとに決算発表を行います。1年間の総まとめが本決算、3ヶ月ごとの途中経過は四半期決算となります。決算月は、企業ごとに自由に設定することができますが、日本ではプライム市場に上場している企業の7割ほどが3月決算を選んでいます。
3月決算企業が多い理由
まずは3月決算というのが、どういうことかを説明します。3月期のスタートは4月1日で、終わりは翌年3月31日になります。今、足元で進行しているのは、2025年度3月期です。3ヶ月ごとに決算発表を行いますので、4~6月が第1四半期、7~9月が第2四半期、10~12月が第3四半期、翌年1~3月が第4四半期となります。
日本で3月決算企業が多い理由は、税制制度に合わせているからです。日本の法律では、法人税や所得税の申告期限が、会計年度終了後の3ヶ月以内となっています。3月決算を採用することで、国や地方自治体など公的機関の会計年度が終了する3月に税務処理を行いやすくなります。また、日本の教育制度では、新年度が4月から始まりますので、それと合わせて、というのもあるようです。
ちなみに2番目に多いのは12月決算企業で、工作機械、精密機器など、海外売上比率が高く国際競争力に優れた、いわゆる優良企業が多いのが特徴です。これは、海外で販売や生産を行う在外子会社の決算期が、現地の習慣に合わせて12月に設定されることが多いためだと考えられます。最近は、海外売上比率を高める企業が多いため、3月決算から12月決算へ変更する企業も増えてきました。