投資

【配当株投資の醍醐味】「年収30%アップ」は難しくても「1年で30%増配」は可能 銀行・商社の株は10年で配当金が2~3倍に

 現在、1株当たり10円の配当金を出している企業が、毎年1円ずつ増配を続けたとすると、10年後の配当金は2倍の20円になります。この株を1株配10円のときに1万株買って持ち続けていれば、10年後に受け取る配当金は2倍の20万円に増えているということです。

 この間、企業は毎年1円ずつ増配していますから、最初は10万円だった年間配当金が、翌年は11万円、その次の年には12万円……と増えていって、毎年その金額を受け取りながら、10年後には20万円に達していることになります。

 これが増配の恩恵であり、配当株投資の真骨頂といえます。新NISAの「成長投資枠」を使えば、得られる配当金は無期限で非課税となるため、総計165万円は丸ごと利益として受け取ることができます。企業による増配を得ることで、新NISAの一番のメリットを存分に活かすことが可能になるのです。

「ゴリラ握力」で保持すれば増配の恩恵が受けられる

「配当株投資は最低でも10年は必要」というのは、短期間では増配の恩恵を十分に享受できないことに理由があります。配当株投資を始めて、企業の株を買っても、最初からたくさんの「果実」(利益)を得ることはありません。

 相当な特需でもない限り、株を買った翌年に1株配が倍になるようなことはなく、基本的には1株益の上昇に応じて、緩やかに増配することになります。1株益とは、1株当たりの利益がどれだけあるかを示す値で、「当期純利益」÷「発行済株式数」(自己株式を除く)の計算式で求められる企業を評価する際の指標のひとつです。

 株を買った当初から豊富な果実が実ることはなく、その株をゴリラ握力でホールド(保持)していけば、その企業が業績を上げて配当金を出し続ける限り、増配の恩恵を受けることができます。

 増配のスピードが緩やかなため、その恩恵には気づき難い面もありますが、過去を振り返って、配当株投資を始めた頃の配当金と比較してみれば、恩恵の「ありがたさ」をリアルに実感することができます。

 無配や減配といったリスクがありながらも、配当株投資を続ける理由は、まさに増配にあります。

 注目に値する「4業種」が、過去10年でどのくらい1株配が増加しているか、取得利回りが上昇したか……を見れば、日本を代表する企業の大型銘柄が、着実に増配していることが理解できます。取得利回りとは、株の購入額に対する配当金の割合を指します。

 次に紹介するのは、2014年3月期から2024年3月期までの1株配の動きと増配率、取得利回りです。

【銀行】 
【1】三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
・1株配「16円」→1株配「41円」(増配率2.56倍)
・取得価格500円なら、利回り「8.2%」
【2】三井住友フィナンシャルグループ(8316)
・1株配「120円」→1株配「270円」(増配率2.25倍)
・取得価格3500円なら、利回り「7.7%」

【商社】
【3】三菱商事(8058)
・1株配「22.67円」→1株配「70円」(増配率3.09倍)
・取得価格600円なら、利回り「11.7%」

【通信キャリア】
【4】NTT(9432)
・1株配「1.7円」→1株配「5円」(増配率2.94倍)
・取得価格50円なら、利回り「10.0%」
【5】KDDI(9433)
・1株配「43.33円」→1株配「140円」(増配率3.23倍)
・取得価格1500円なら、利回り「9.3%」

【損害保険】
【6】東京海上ホールディングス (8766)
・1株配「23.33円」→1株配「121円」(増配率5.19倍)
・取得価格1000円なら、利回り「12.1%」

 注目4業種の6つの銘柄の1株配を振り返ってみると、いずれも2倍以上になっています。10年以上の時間をかければ、1株配が2倍から3倍近くになっていることは普通にあります。

 目先の株価の動きに一喜一憂せず、長いスパンで配当株投資に取り組んでいけば、こうした結果を享受することが可能になり、増配の恩恵を受け続けることができます。

次のページ:増配のインパクトは投資額が増えるほど大きくなる

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。