今後の不動産行政の「3大任務」
政策についてもう少し詳しく説明しておくと、まず、「大規模な設備更新、消費財に関する以旧換新(買い替え)行動を推し進める」ための政策によるインパクトが大きい。
さらに、これまで景気の足を引っ張ってきた不動産業界の不振について。これは主に当局による厳しい不動産バブル潰しによるものだったが、金融リスクの拡大を防ぐ措置はそのまま残しつつ、不動産市場の健全な発展を促すための各政策が打ち出されている。
4月30日に開かれた共産党中央政治局会議によれば、今後の不動産行政の3大任務として【1】保交楼、【2】不動産在庫の消化、【3】新たな住宅供給の最適化の3点を指摘している。
保交楼とは、資金難により建設が中断していたプロジェクトについて、当局が銀行を通して資金面から支援することで完成させるといった政策で、売買契約を済ませ、ローンの返済が始まっていながら約束通り物件を引き渡してもらえなかった購入者たちを救うと同時に、不動産購入に対する不安の一つを取り除くことで、新規需要の拡大につなげようとする政策だ。
不動産在庫の消化についてだが、需要を拡大させるには欠かせないこととして当局が重視した点でサプライズである。
新たな住宅供給の最適化については、自由に任せていては市場の最適化は難しいとして、国家が積極的に関与することでそれを最適化に導こうとするものである。人民の需要を出発点として住宅(供給量、立地など)を決め、その需要に基づいて土地を割り出し、それに合わせて資金を供給するといった一連のメカニズムを指す。保障性住宅(日本の公団住宅に相当)、都市中心部の遅れた地域の開発、都市インフラの整備など、国家による都市化政策と不動産市場の発展とを融合させることで投機を防ぎ、健全な発展を目指すものである。