グローバル資金の流れが変わり始めている。香港市場は欧米機関投資家が強い価格支配力を持つ市場だが、それを代表するハンセン指数は、4月19日を起点として上昇トレンドを形成している。5月13日の終値は1万9115ポイントで9か月ぶりの高値を記録、この間の上場率(終値ベース)は17.8%に達している。
中国金融当局が資本市場改革を進めて投資家を重視する姿勢を示し始めたことに加え、これまで中国経済の見通しに関して悲観的であった欧米機関投資家が、その見通しを変え始めていることなどが株価上昇の主な要因だ。
経済統計をみると、1-3月期の実質経済成長率は5.3%であった。昨年10-12月期よりも0.1ポイント高く、今年の成長率目標である5%前後を上回っている。また、国家統計局、中国物流購買聯合会が発表する3月の製造業PMIは50.8で6か月ぶりに景気の拡大、縮小の分岐点となる50を超えており、4月は50.4と2か月連続で50を超えている。
足元では景気回復の兆しが見え始めているが、とはいえ、1-3月期の名目経済成長率は4.2%に留まっており、実質値の成長率を1.1%ほど下回っている。GDPデフレーターがマイナスとなっているのだが、これは2023年4-6月期以降、4四半期連続だ。需要不足は依然として解消されていない。
今後、景気が順調に拡大していくためには、需要を拡大させる政策、とりわけ落ち込みの激しい不動産市場に対する刺激策の発動が不可欠だが、これらの点で、3月の全人代、4月の共産党中央政治局会議を通して、中央からトップダウンで政策が打ち出されており、地方政府がそれを実行に移し始めている。
当局のこうした積極的な政策を機関投資家たちが評価しており、ADB、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレー、シティーグループなど、多くの金融機関が成長率の見通しを上方修正している。