飲食店の中には、混雑時における利用時間を制限するルールを設けているケースも多い。店側としては回転率を高め、入店待ちの時間を減らす効果があるが、長くくつろいでいたい利用客にとってはあまりうれしくない場合もあるだろう。世の人々はこのような飲食店の利用時間制限ルールにどう向き合っているのか。
外食産業における実地調査を頻繁に行っているのが、ライターの小浦大生氏。カフェチェーンやファミレスなどで時間を過ごしながら、そこで仕事をすることもあるという。
「できる限り空いている時間を狙って店に行くようにしています。飲食店では店側が自由にルールを設定できるというのが基本ですから、利用時間の制限もしっかり守ります。
一般的には混雑時にドリンク1杯だけで作業をしたり、長引く打ち合わせをしたりするのはマナー違反かなという認識です。混雑状況を見つつ、待っているお客さんに迷惑をかけないように心がけています」(小浦氏)
制限時間への考え方の違いで友人関係にヒビ
ただし時間制限をどれくらい気にするかは、人によって感覚の違いがある。都内に住む会社員・Aさん(30代女性)は、カフェでの時間制限をきっかけに、友人との関係性が悪くなったことがあるという。
「以前、大学時代の友人と休日の昼間にファミレスに行った時の話です。その日はかなり混んでいて、入店待ちのお客さんが常に4~5組いるような状況でした。私たちも20分くらい待って席につくことができたんですが、店員さんに90分制だと言われたんです。ちょっと短いなと思ったけど、せっかく待ったのだからと、そのまま席につきました。
ファミレスなので料理も結構すぐに出てきて、30分ほどで食事は終わりました。でも、まだ入店待ちのお客さんが何組もいるのが見えていたので、私が『店を出ようか』と言ったら、友人は『え? 90分は居られるんだから粘ろうよ。ドリンクバーももっと飲みたい』と怪訝そうな顔をするんです。
私としては、別にファミレスで時間を潰したいわけでもないし、他のお客さんに迷惑がかかるから、すぐにでもお店を出たほうがいいと思ってたのに、友人は『ドリンクバー代がもったいない』と言うばかり。軽く言い合いになってしまい、この一件以来、この友人と食事に行くことはなくなりました」