心を病んだ末に犯罪者が近づいてくる
恐ろしいのは、そんな虚像にまみれた投稿によって苦しみを抱えた末にSNSに「死にたい」「私なんてブスだ」と書き込むと、そこに「悩みを聞かせてほしい」と犯罪者が近づいてくることだ。ネット問題に詳しい弁護士の清水陽平さんが話す。
「同世代の子供やネット上で拾った若い美男美女の画像を利用して親しみやすい人物を装い、悩みを聞き出して寄り添ってみせることで親密になる。頻繁なやりとりの先に裸の写真を送らせたり、時には直接会いたいなどと呼び出して犯罪行為に及ぶ者もいる。2017年に神奈川・座間市のアパートの一室で10代の少女4人を含む9人が殺害された事件も、X(旧ツイッター)に自殺願望を書き込んだ若者が誘い込まれたのが発端です。
今年2月に大阪で中学生3人が男子大学生を美人局(つつもたせ)の手口で脅し、死に追いやったとして監禁致死容疑で逮捕された事件も、両者はSNSを通じて知り合っています」
利用者の心を傷つけるだけでなく、時に犯罪に引きずり込む魔窟と化したSNSは、いまや未成年が大麻などの違法薬物を売買するツールにもなっている。2020年の大麻所持による検挙者約5000人のうち、中高生は899人にものぼった。
実際にXで違法薬物の売買を意味する隠語を検索すると、売人による“広告”が無数に出てくる。
(第2回〈SNSに蔓延する自覚ない悪意 ネットリンチが現実のいじめと異なる点〉に続く)
※女性セブン2024年5月30日号