朝、スマホのアラームで起きたらまずはLINEの返信。Xのトレンドとインスタのストーリーをチェックして、食事のお供にはYouTube、移動時間はTikTok。もはや生活の一部となっている「SNS」だが、使えば使うほど、心も体もボロボロになっていく人もいる。SNS依存が引き起こす様々なトラブルを検証する。【SNSの闇・第1回】
SNSの負の側面に国が危機感
「ネットリンチ」に国のメスが入った──5月10日、参議院本会議において、SNSや掲示板など、インターネット上での誹謗中傷に対し、運営事業者により適切かつ迅速な対応を義務化する「プロバイダ責任制限法」の改正案が可決された。利用者からの申請に対し一定期間内に削除に応じるか否かを通知するほか、削除基準を明確に設けての公表などが義務づけられる。
人と人との距離を縮め、情報発信のハードルを下げる画期的なツールとして、スマホの普及とともに爆発的に広がったSNS。だが、度重なる誹謗中傷で著名人の自殺が相次いだことなどから社会問題となっている。今回の改正法可決はそうしたSNSの“人間を壊す”側面に、国が危機感を抱いたことの表れだといえる。
忌避すべきは誹謗中傷だけではない。心強い味方であったはずの存在が、世界中で牙をむき始めている。SNSは、それ自体が“人類史上最凶の娯楽にして害悪”かもしれないのだ。
米ニューヨーク市はメタを提訴
《子供や10代の若者を意図的に操り、依存させるように仕向けている。若者たちは不安や絶望を経験し、自殺未遂の割合はこれまでにない状況にある》
今年2月、米ニューヨーク市のアダムス市長はこう訴え、フェイスブック、インスタグラムの運営会社であるメタを前述の言葉で強く非難するとともに、SNSによって精神的な傷を負った若者のカウンセリングなどの費用に年間1億ドル以上かかったとして、損害賠償を求めて連邦地方裁判所に提訴した。