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【SNSに蔓延する自覚ない悪意】ネットリンチが現実のいじめと異なる点 “自分の力で社会を動かす”ことで覚えるゆがんだ快楽

SNSでストレスや疲れを感じる主な原因やきっかけ

SNSでストレスや疲れを感じる主な原因やきっかけ

 SNSに脳を乗っ取られて判断力が落ち、情緒不安定なままSNSを使い続ければ当然、トラブルが生じる。日頃からSNSで子育ての悩みを共有したり情報収集をしているという、3才の子を持つA子さん(38才)が打ち明ける。

「ママ垢(アカウント)には、独自のルールがあります。“子供の自慢禁止”“先輩ママのアカウントはフォロー必須”とか……面倒だけど、ルールを破るとみんなから嫌われて、炎上させられるんです。せっかくできたSNS上のママ友を失いたくないので、私はしっかり守っていました。

 あるとき、たまたま知らないママ垢がルール違反でプチ炎上していたので、ストレス発散もかねてほかのママたちと批判コメントをつけてしまって……それもルールを守れない母親の子がかわいそう、人の忠告を聞けない中二病のバカ親とか、大したことない内容ですけどね!

 でも実は、そのママが近所に住むリアルママ友だったことが後で判明したんです。この一件でつきあいがなくなりました。私は別にいいんですが、仲よしだった子供同士が遊べなくなったのがかわいそうで……」

無数のワンタップが問題を肥大化させる

 SNSには、A子さんのような“自覚なき悪意”が蔓延している。人間関係に亀裂を生じさせるだけならまだましで、中にはネットリンチに発展し、大きな精神的負担を抱えることもある。ネット問題に詳しい弁護士の清水陽平さんが話す。

「中傷コメントを書き込むのは1人1回でも、それが全国から集まれば数千、数万人で袋叩きしているようなもの。たった1回の書き込みがネットリンチをつくるのです。その中でも、ケースバイケースですが、相手の人格を否定するような言葉は権利侵害とされる恐れがあります」

 ほとんどの人が軽い気持ちでタップしている「いいね」や「リポスト(拡散)」も、ネットリンチに拍車をかける。ワンタップは重い一票なのだ。実際、誹謗中傷で訴えられた人のほとんどが「自分のコメントが権利侵害になるなんて思ってもみなかった」と話すと、清水さんは言う。

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