死と孤立を招く「あなたへのおすすめ」
最悪の場合、SNSの「あなたへのおすすめ」に死に追いやられる可能性すら存在する。2022年、アメリカで16才の少年が線路に飛び込んで自殺した事件では、少年は自殺の直前、TikTokで自殺を賛美する内容を含む3000本以上の動画を閲覧していたことがわかった。
「一度でも有害な動画を閲覧すれば、延々と類似する動画を“おすすめ”されてしまうのも、SNSの恐ろしいところです。中でもいまは、『エルサゲート』と呼ばれる、子供向け動画に見せかけた有害コンテンツが大きな問題になっています。
その名の通り、ディズニー作品など誰もが知る人気キャラクターを使って暴力や暴言、自殺、性行為、流血や排泄シーンなどを露骨に表現した動画です。一見すると幼児向けアニメと見分けがつかないため、フィルターをかいくぐり、子供が延々と見続けてしまう」(磯村さん)
暴力的なコンテンツや誹謗中傷は、大人も子供も、ただ見ているだけで脳にダメージが与えられる。精神科医の樺沢紫苑さんが指摘する。
「脳はネガティブな言葉により強く反応するようにできています。しかも、『古い脳』と呼ばれ脳の中心にある扁桃体は前頭前野よりも素早く反応するため、『主語』を認識できない。まったく関係のない人に向けられた中傷でも、脳はまるで自分が暴言を吐かれたのと同じように驚き、傷つくのです」
(第4回〈『昔のSNSといまのSNSはまったく別物』子供だけでなく中高年も蝕むSNSの“毒性”〉に続く。第1回から読む)
※女性セブン2024年5月30日号