世界で広がる学校でのスマホ禁止
国籍も年齢も性別も無差別に、心や体、人間関係、時には資産まで奪っていくSNS。スマホの向こうに広がる“地獄”から救い出すべく、諸外国では急ピッチで対策が進められている。
アメリカではすでに70%の州で学校へのスマホの持ち込みまたは使用が禁止されているほか、中国でも昨年、未成年のスマホの使用時間に厳しい制限を設ける方針を示した。日本でも甲子園出場常連の大阪桐蔭高校野球部など、一部でスマホ禁止が広がっている。スマホ依存防止学会代表の磯村毅さんはこう語る。
「40代くらいまでの世代は“自分たちも若い頃からスマホを使っていたし、SNSもやっていたから”と容認しがちですが、昔のSNSといまのSNSはまったく別物。すぐに通信制限がかかり“強制デトックス”になっていた20年前とは異なり、通信環境が整っているいまはいつでもどこでも、いつまでもサクサクつながれるうえ、AIによって一人ひとりに合わせてより面白いものが表示される。一般に、より新しくヒットしているSNSほど“毒性”が強いといわれています」(磯村さん・以下同)
SNSを中心としたネット依存による脳の損傷はコカインと同等だといわれており、WHO(世界保健機関)はこれを受けて2019年に「ゲーム障害」と名づけ、新たな依存症に認定した。
「体内に入ったアルコールの影響をデトックスするには1週間、ニコチンは3日から1週間ほどかかるといわれている中、SNSなどによる依存から抜け出すデジタル・デトックスには3週間以上かかります」
試しに「スマホに触れない時間」を5時間ほど設けてみてほしい。SNSの情報に取り残される不安や恐怖を感じるなら、間違いなくSNS依存だと言える。