全国的に深刻化している“空き家問題”。もしも隣家が長年放置されて朽ち果てていた場合、自治体に頼んで撤去してもらうなど対応してもらうことはできるのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【質問】
10年以上前から隣が空き家になっています。土地は市のものらしいのですが、以前、土地を借りていた隣人が建てた家の窓ガラスが割れたり、ドアが壊れたりして朽ち果てています。防犯上もよくないのでなんとかしてほしいのですが、隣人の行方がわかりません。役所に頼んで、家を撤去してもらうことはできるのでしょうか。(栃木県・60才・主婦)
【回答】
空家等対策特別措置法では、次のような呼称と定義があります。
「特定空家等」…放置すると倒壊などの危険性が著しい、など4つの状態の空き家。
「管理不全空家等」…「特定空家等」の一歩手前で、適切な管理がないことにより、放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家。
管理不全空家になると、市町村長により国が定める基本指針に従った防止措置を取るように指導され、指導に従わない場合は勧告を受けます。勧告を受けるような建物では住居利用が難しいので、その敷地は住宅用地とはいえないことから、住宅敷地の税金を安くする住宅用地特例の適用がなくなり、敷地の固定資産税が大幅に増える不利益を受けます。