中国の不動産バブルは、当局がディベロッパー側を財務面からの規制によって強力に抑えつけたことで崩壊に向かったが、2023年には後処理、修復作業が始まり、今年に入りそれが加速している。4月30日に開催された共産党中央政治局会議の決定を経て、多種多様な政策が打ち出されており、本土経済紙は連日、関連情報で溢れかえっている。
中国人民銀行、国家金融監督管理総局は5月17日、1件目住宅取得に関するローンの最低頭金比率を15%に引き下げると発表した。バブルを抑止する目的で一旦30%まで引き上げられていた頭金比率だが、2023年には20%にまで引き下げられており、それが今回さらに5ポイント引き下げられることになった。二件目住宅については最も高い時には50~70%あったが、まず30%に引き下げられ、それが25%に引き下げられている。
ローン金利については、これまで一件目住宅取得では5年物以上最優遇貸出金利(3.95%)から20BP低い水準、二件目住宅については五年物最優遇貸出金利よりも20BP高い水準であったが、17日に中国人民銀行は全国一律の最低金利水準の設定を取り消すと発表した。今後は、地方政府がその地域の不動産市場の情勢に合わせ、地方政府のマクロコントロール基づいて、独自に最低水準を設定する制度となる。
加えて、公的住宅積立金制度を利用したローンの最低金利が5月18日以降、0.25BP引き下げられた。一件目住宅については、5年以下は2.35%、5年以上は2.85%、二件目住宅についてはそれぞれ2.775%、3.325%となった。
不動産の供給サイドに関する政策も打ち出されている。
国務院新聞弁公室は17日午後、国務院の政策に関するブリーフィングを行ったが、そこで不動産政策の進展状況について中国人民銀行の陶玲副行長から説明があった。それによると、3000億元(6兆4500億円、1元=21.5円で計算)規模の保障性住宅向け再貸出(中国人民銀行が保障性住宅建設用として資金使途を絞り金融機関に貸し出すこと)枠を設置、地方の国有企業が売れ残っている商品不動産を合理的な価格で買い取り、それを従業員などに売り出したり、あるいは賃貸物件として所有・経営したりすることを支持すると発言。これにより、5000億元(10兆7500億円)の銀行ローンが誘発されるなどと発言している。