マネー

「相続するとかえって損する!」相続放棄が約30年で6倍以上に激増 不動産の解体費用高騰、バブル期の「原野商法」の負の遺産も

相続放棄する?しない?「簡易チェックリスト」

相続放棄する?しない?「簡易チェックリスト」

親より先に子が亡くなると“二重”の相続税が発生

 空き家問題が深刻化しているのは“バブルの功罪”でもあると、税理士の湯本康平さんが言う。

「当時、“この土地は将来価値が上がる”などといって山林や原野を売る『原野商法』が横行しました。このときに地方の売れない山林などを買ってしまった人が亡くなり、それを相続する子供世代がいま、困っているというケースも散見されます」(湯本さん)

 相続問題に詳しい堂野法律事務所の弁護士・福住淳さんがつけ加える。

「2023年から始まった相続土地国庫帰属制度によって、遠方で管理ができなかったり、資産価値がなく持て余している土地を国に引き取ってもらうことが可能になりました。ところが、境界を確定するなどの要件があることから、それが困難な山林などは適用されにくい。こうした事情から、価値が乏しい不動産以外にめぼしい資産がない相続の場合、放棄を選ぶ人が増えています」

 土地よりもやっかいなのが“上物”だ。千葉県に住む会社員・Nさん(58才・女性)がこぼす。

「田舎に住んでいる両親は生前“自分たちが死んだらこの家を売ってお金にしなさい”と言っていたので、両親が亡くなるまでうのみにしていました。ですが、いざ相続したらまったく買い手はつかず、持っているだけで固定資産税を取られる。そのうえ、昨年の台風で庭の木が隣家に倒れてしまったらしく、賠償することになりました。いい加減手放したいのですが、解体に300万円以上かかると聞いて、途方に暮れています」

 中には、相続によって“二重”の相続税が発生するケースもある。親より先に子が亡くなった場合がそれに当たる。

「親が子の財産を相続して相続税を払っても、親が高齢でその後すぐに亡くなると、次は先に亡くなった子のきょうだいが相続人になる。すると、あまり間を置かずに相続税を2回払わなければならなくなるため、親が相続を放棄することで、相続税を減らす対処をするかたもいます。

 ただし、2回の相続が10年以内に起きた場合は、その間に払った相続税を経過年数に応じて控除できる『相次相続控除』という制度もあるため、一概に“親が放棄するのが得”とは限らず、慎重な判断が必要です」(湯本さん)


■〈【全文公開】「その相続は放棄しないと大損する!」激増する相続放棄、個人でもできる手続きの流れと知っておくべき注意点〉を読む

※女性セブン2024年6月13日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。