「為替」「預金」「融資」という銀行本来の機能や情報を、他業種に提供する「バンキング・アズ・ア・サービス(以下BaaS)」というシステムが、いま花盛りだ。
たとえば、ヤマダ電機の「YAMADA NEOBANK」、JALの「JAL NEOBANK」など、銀行業の免許を持たない企業が、「BaaS」を使って買い物の決済や預金、振込機能を提供し、さらにポイントもたまる仕組みだ。
5月にスタートしたJR東日本の「JRE BANK」もその1つ。JR東日本が楽天銀行のインフラを利用して預金や住宅ローンなどのサービスを行うのだが、目玉はJR東日本路線内の片道運賃(新幹線含む)が4割引になるなどの豪華特典。これに惹かれて、想定以上の申し込みが集まっている。「JRを利用するから、お得そう!」と、人気に乗りたいところだが、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんはこう語る。
「確かに魅力的な特典が並んでいますが、それを受けるには預金額が最低50万円あること、かつ、口座を給与振込先等にすることやビューカードを引き落とし先に指定することなど、“かつ”以降の条件がわりと厳しいのです」(風呂内さん・以下同)
JR東日本には、ほかに新幹線のチケットが5~30%の割引が受けられる『トクだ値』(えきねっと限定)というサービスもあり、それも充分使い勝手がいいという。
「クレジットカードは絞った方が把握しやすいので、あれこれ申し込むと、資産管理が大変になる可能性もあります。本当に自分が使うメリットがあるのかをよく検討する必要があります」
【プロフィール】
風呂内亜矢(ふろうち・あや)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者。テレビやラジオ、雑誌、新聞のほかYouTube「FUROUCHI vlog」でも情報を発信。『「定年」からでも間に合う老後の資産運用』(講談社+α新書)ほか著書多数。
※女性セブン2024年6月13日号