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大型液晶パネルから撤退、「液晶のシャープ」はどこで道を誤ったのか 元社長・町田勝彦氏が振り返る「致命的だった」こと【独自インタビュー】

シャープの栄枯盛衰年表

シャープの栄枯盛衰年表

出発点は「壁掛けテレビ」

 町田氏はかつて一斉を風靡した液晶テレビ「アクオス」の立役者でもある。社長就任直後の1998年に「2005年までに国内で販売するすべてをテレビを液晶化する」と宣言し、注目を集めた。

「30代でテレビ部門の営業部長をしていた時に『壁掛けはなんで出来へんねん』と新商品の企画会議でずっと言っていたんです。そんな話から始まったんですよ。でも、言い続けていたらできるんですよね。人間の思いや願いというものは、言っているうちに実現するもんやと僕は思うんです」

 テレビというのは、重くて巨大な箱の形をしているものだった。

「当時のテレビは場所をとって、不細工やないかと思っていました。壁掛けにしたら場所もとらないし、かっこ良いだろうなと。だから将来は壁掛けテレビを作るという夢を持っていたんです」

 だが、当時の液晶技術は低く、画面の映りは決して良いものではなかった。

「あらゆる業界の方々がシャープに来ましたよ。“本気ですか”って。そんなものできるわけないとも言われたけれど、それでも色んな人が興味を持ってくれたんです。普段はあまり付き合いのない繊維メーカーさんも手伝ってくれた。色んな立場の人たちが、液晶テレビのために力を合わせて下さったんです」

 技術者たちが試行錯誤を重ねた末、液晶テレビは消費者たちを満足させる美しいものへと変わっていった。

「液晶という一つの産業を作り上げていったことは私にとって一つの誇りだし、ごっつ良い思い出です。どんどん大きくなっていくから、みんな喜んでくれてね」

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