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大型液晶パネルから撤退、「液晶のシャープ」はどこで道を誤ったのか 元社長・町田勝彦氏が振り返る「致命的だった」こと【独自インタビュー】

アクオス誕生の立役者でもあった元社長の町田勝彦氏(2007年撮影/時事通信フォト)

アクオス誕生の立役者でもあった元社長の町田勝彦氏(2007年撮影/時事通信フォト)

創業者の「世の中にないものを作りなさい」の言葉

 2016年にシャープが鴻海に買収されたことは、今でも良く思っていない。

「ちょっとお粗末やなと思いました。後任の社長には『堺工場以外は外資企業の出資比率を上げてはいかん』と厳命していたのですが……」

 世界的に半導体不足が叫ばれる今となっては、シャープももっと半導体に力を入れるべきだったのではないかと思えるが、参入の余地はなかったのだろうか。

「それは無理やったね。当時、シャープの半導体は技術的にもシェアとしても世界で12番か13番目。そのレベルで力を入れても太刀打ちできないだろうと判断したんです。結果的に見ると、両方に手を出していた会社はうまくいかなかった。二兎を追うことはできないという判断でした」

 2000年代後半に入ると、中国・韓国の液晶メーカーが台頭。追い上げられていった。

「こちらはゼロから技術を高めていったけど、共同開発した機械を装置メーカーや材料メーカーは中国や韓国に輸出できてしまう。ごっつ感謝されたけど、こちらとしては何もありがたくない。特許や契約で流出を防ごうとしても、どうしても抜け道があるんです」

 自分たちで開発した技術が模倣されていくことを、受け入れざるを得なかった。

「悔しかったし情けないと思ったけど、技術というのは高いところから低いところへ流れていくものなんです。『怒ってもしゃあない、次を考えろ』ってよく言ってました。経産省の人たちともよく話し合いましたが、人間が動く限り技術は流れていってしまうものなんでしょう」

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