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大型液晶パネルから撤退、「液晶のシャープ」はどこで道を誤ったのか 元社長・町田勝彦氏が振り返る「致命的だった」こと【独自インタビュー】

 中国企業は会計の仕組みが日本と異なり、同じ土俵では勝負にならなかった。

「日本では工場を建設する際の設備投資の費用が一番問題となるのに、中国ではそうした費用の多くを国が出してしまう。まさに国家プロジェクトなんです。中国に技術が渡った途端に、これはもう無理だなと思いました」

 それでも町田氏は、現役社員たちにこうエールを送った。

「創業者・早川徳次は『世の中にないものを作りなさい』と言っていた。この気持ちを大事にしていけば、チャンスは必ずある。パイの奪い合いではなくパイを作り、市場を作るんだという発想でいけば、きっと面白いことになる」

 取材を終えると、町田氏は目の前にあったマッサージチェアを指差し、冗談めかして言った。

「こんなのもまだまだ使い勝手悪いで。今だったらAIで人間の形を見るとか、もっと何か出来そうなんやけど。でも、そんなん考えながら使ってると、かえって疲れるわ」

 声は大きく張りがあり、80歳という年齢を感じさせない。シャープの黄金期を率いたカリスマは、快活な好々爺なのだった。

取材・文/西谷格(ライター)

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