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65歳以上の孤独死が20年で50倍に激増、背景にあるのは家族との「絶縁」か “毒親なので親を捨てたい”と「家族じまい」代行業者への依頼も急増

「家族代行サービス」の相談は3年で5倍に

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親やきょうだいとの絶縁を望む人が増えている背景

 なぜ、親やきょうだいとの絶縁を望む人が増えているのか。『母を捨てる』の著者で、ノンフィクション作家の菅野久美子さんは、家族形態が変わってきたことを理由に挙げる。

「核家族化が進むなど家族の形態が大きく変わった結果、ネグレクトや虐待などが日常的に存在するいわゆる『機能不全家族』が表面化した。加えて、これまでは“親を捨てる”など思うことすらタブーでしたが、90年代に子供の頃に養育者から受けたトラウマで大人になっても傷ついている人を指す『アダルトチルドレン』という言葉が話題になったり、毒親に苦しんだ当事者がインターネットや本で発信するようになったことで“親を憎んでもいいんだ”という考えが世の中に一気に噴出し、親を捨てることのリアリティーが増したように思います」

 家族のあり方に詳しい中央大学文学部教授の山田昌弘さんも「親子関係における価値観の変化」について指摘する。

「昔は世間体もあり、子は育ててもらった恩があるのだから親の面倒をみるのが当たり前とされましたが、いまは成人したら親子の関係は対等という考えが主流になっている。その結果、親の存在が重荷だと思えば、縁を切ることが可能になりました。親だからという理由だけで子を縛ることができなくなったのです」

 家族関係に詳しい弁護士の佐藤みのりさんは「そうした変化を加速させたのはSNSだ」と語る。

「胸の内にしまっていた親からの虐待やきょうだいとの不仲の実態を他人のSNSで頻繁に目にして、その解決策も知られるようになった。『毒親』という言葉も認知され、人知れず家族との関係に苦しんでいた子が“私も家族と距離を取っていいんだ”と考えるようになった」

 しかし、自分にとって最も近しい存在を自らの手で“捨てる”行為には強い決意が必要であり、また大きな負荷がかかるのは間違いないだろう。それでもなお、絶縁を選んだ人が増えている現実がある。


■〈【全文公開】最後の手段として「家族を捨てる」選択とその意義 人生の“第二章”をスタートさせるために「私はこうして“絶縁”した」当事者たちの告白〉を読む

※女性セブン2024年6月13日号

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