第一歩となるのは「物理的に距離を取ること」
悲劇から逃れるためには、実際にどう行動すべきか。
「まず知っておいてほしいのは、法的に親子関係を絶つことはできないということ。そのうえで18才未満の子供への虐待は『児童虐待防止法』、子が老親に危害を加える場合は『民事保全法』などに基づけば、暴力を振るう親や子に『接近禁止命令』が命じられます。ただし認めてもらうには、身に危険が迫っていることなどが必要です」(佐藤さん・以下同)
実際には、よほどの緊急性がないと法に基づき親子の接触を禁じるのは難しい。現実的な第一歩となるのは、「物理的に距離を取ること」だと佐藤さんが続ける。
「まずは相手と離れた場所に住み、連絡も控えること。電話番号や住所を変えるのもよいでしょう。家族と話し合うなら弁護士に間に入ってもらい、高齢の親を施設に入れるなど、どうしても手助けや接触が必要な場合は家族代行サービスを利用する手もあります」
家族の委任を受け、親世代の介護施設の選定や終末期の付き添いなどの「家族じまい」を代行する一般社団法人LMNでは家族代行サービスを行っており、親との“対話”を代行することもあるという。
「実際に“もう20年ほど連絡してないけどそろそろ介護や死に備えた準備が必要だから”と相談に来るかたも結構います。“親からDVを受けていて、いまだに暴れるから間に入ってください”や“親が接近してきたら怖いからGPSをつけてください”という依頼もあります」(LMNの遠藤英樹代表理事)
確かに無理に家族でい続けるより、縁を切った方がお互いに幸せになれるケースもあるかもしれない。