支持率の低下に加え、今国会での解散見送りが報じられた岸田文雄・首相。窮地に追い込まれつつあるのはたしかだが、政権延命の野心はまだまだ捨てていないという。そのために岸田首相が必死でアピールするのが「定額減税」だが、その“嘘”に決して騙されてはいけない。
電気代もガソリン代も上がる
「賃上げと所得減税を合わせることで、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実に作りたい」
岸田首相はそう語って1人4万円の定額減税を6月分の給料で実施させ、企業に給料明細への減税明記を義務づけたうえ、政府広報や官邸ホームページで減税を宣伝しまくっている。
だが、減税に隠れて増税や社会保険料の負担増が進んでおり、物価高と重なって家計の負担は減税分以上に重くなることはどこにも“明記”されていない。
本誌・週刊ポストは定額減税の裏で、国民負担がどれだけ重くなっているかを試算した。
まずは増税と医療費アップだ。この6月から「森林環境税」が導入され、住民税に1人1000円が上乗せされて徴収される。医療費の窓口負担も6月から値上げされ、初診時が最大219円アップ。
「物価高騰対策」で昨年1月から行なわれていた電気代、ガス代の補助も5月で打ち切られ、6月分から値上げされる。
値上げ額は標準世帯(月使用量が電気400キロワット時、ガス30立方メートル使用のケース)で電気代は年間約1万6800円、ガス代は約5400円上がる。これに太陽光発電などの再エネ賦課金の引き上げ(標準世帯で年間約1万32円)を加えると年間の電気・ガス代の負担増は合計3万2232円になる。