掲載の図を見ていただきたい。
年収500万円の3人世帯のこれからの負担増を積み上げると、年間ざっと13万円。それに対して3人世帯の減税額は合計12万円であり、差し引きは約1万円の負担増だとわかる。
経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。
「電気・ガス料金の補助金打ち切りをはじめ、今年6月からの増税、医療費値上げなど数々の負担増は岸田政権がスケジュールを組んでいたものです。
つまりこの6月から国民への大幅な負担増が実施される。それを隠すために、わざわざ定額減税を6月分の給料から集中的に実施させる。住民税は12か月間毎月払うものなのに、6月分だけゼロにして残り11か月間で払わせるなど小手先の誤魔化しも甚だしい。明らかに手取りを多く見せて負担増を隠すためです。
国民は6月の給与明細を見て喜んでも、減税分がなくなる8月か9月分の給料からは社会保険料などの負担が急に重くなり、“おかしいな”と気づくはずです。岸田さんはその前に解散・総選挙をやってしまいたいと考えているのではないか」
腹立たしいのは、岸田政権は国民に“見せかけ減税”で負担増を強いながら、自民党議員が派閥の裏金を自らの政治資金にする際の寄付金控除などはお咎めなしにするなど、やりたい放題を認めていることだ。
こうした議員の“特権”を野放しにして、名ばかり減税で国民を誤魔化せると思っているとしたら大間違いなのだ。
※週刊ポスト2024年6月21日号