マネー

「自分が先立ったら残されたペットが心配…」お世話を任せられる人に託す“ペット信託”とはどんな制度か? 弁護士が解説

 しかし、ペットをかわいがってくれる人や団体に預ける方法で信託を利用できます。この場合、ペットを預かる人や団体が受益者となって、信託財産から飼育のために必要な費用の支払いを受けます。しかし、受託者と受益者を同じにすると、信託は1年で終了するという決まりなので、受益者に信託財産を預けることはできず、別に受託者を定める必要があります。

 つまり、ペットの世話を任せられる人、その人に渡す経費を支出するために信託財産を預かる人がいればペット信託は可能です。信託は遺言でもできますし、受託者との信託契約によっても可能です。

 後者の場合は生前に信託することになるので、飼い主本人が一次的な受益者になり、死亡時にペットの面倒を見てくれる人に二次的に受益者になってもらいます。ペットは法律上は“物”ですから、自分が死んだときにはペットの世話をする受益者に遺贈する、という遺言を残すことが必要です。

 メリットとしては、受益者が自分のペットとして面倒を見て、費用も信託財産がある限り受託者が受益者に確実に支払ってくれるので、ある程度安心ということです。

 デメリットは、受益者等に期待を裏切られる可能性があるということです。信頼できる受益者や受託者を見つけるのが最大の課題です。この点は動物病院や動物愛護団体に相談するのがよいでしょう。また、手続きについては信託を得意とする法律事務所もあるので相談してみてはいかがですか。

【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。

※女性セブン2024年6月20日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。