一方、追加の利上げ実施に関しては、早くて9月頃と見られていたが、5月末に大手金融機関幹部が「早ければ7月にも政策金利を0.25%程度引き上げる可能性は十分にある」と発言したことで、「7月利上げ観測」が強まり、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは5月30日に1.100%まで上昇。その後は米長期金利低下などを受けて、0.9%台まで低下したが、日銀会合への思惑で長期金利は動きやすいことから、株式市場は金利動向をにらんだ展開が続く。
一方、日銀会合開催前の11-12日には、米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。結果発表及びパウエルFRB議長の記者会見は、東京時間13日未明に公表される。今回は「政策金利は据え置き」「ドットチャートについて、2024年の利下げ回数が3回から2回に修正」が想定線となっている。2025年、2026年の利下げ見通しも注目ではあるが、パウエルFRB議長は「政策判断はデータ次第」という基本姿勢を示すと見られることで、市場への影響は限定的か。
6日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会では、0.25%の利下げが実施されたが、今後の利下げスケジュールは「データ次第」と市場想定通りの発表に留まったことでユーロへの影響は限定的となった。今回のFOMCも市場想定通りの結果となれば、ECB理事会後のユーロ同様、ドルの急変動など為替市場の乱高下は回避されよう。
今週にかけて、国内では、10日に4月国際収支、第1四半期GDP二次速報値、5月景気ウォッチャー調査、11日に5月マネーストックM2、12日に5月国内企業物価、13日に第2四半期景況判断BSI、14日に日銀金融政策決定会合結果発表、4月鉱工業生産(確報値)、植田和男日銀総裁の記者会見などが予定されている。
海外では、11日に英・5月失業率、12日に中・5月生産者物価指数、消費者物価指数、独・5月消費者物価指数、英・4月月次GDP、鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、米・5月消費者物価指数、週次原油在庫、FOMC結果、パウエルFRB議長記者会見、13日に豪・5月失業率、欧・4月ユーロ圏鉱工業生産指数、米・週次新規失業保険申請件数、5月生産者物価指数、14日に米・6月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。