値上げによって目減りした“お得感”
過剰なペースでの出店展開が仇となり、結果的に店舗数を減らしていくこととなったいきなり!ステーキだが、さらに原材料費、エネルギー価格、人件費などの上昇もあり、値上げを余儀なくされてしまう。
「いきなり!ステーキでは、コロナ禍以降、年に1回ほどのペースで値上げをしています。メニューによっては、2013年の開業当初に比べて約2倍ほどの価格になっているものもあり、“割安感”が薄れているのも事実です。いきなり!ステーキの最大の魅力は、“安い価格でステーキを食べられること”でしたが、現状ではそのメリットがそこまで大きく感じられなくなってしまったわけです」(小浦氏)
実際に、かつてはいきなり!ステーキに足繁く通っていたものの、最近はほとんど行かなくなったという“元愛好家”も少なくない。都内に住む会社員のAさん(40代男性)はこう話す。
「2017年から2019年くらいまでは本当によく行っていました。当時は『リブロースステーキ』を頼むことが多くて、価格は300gで2000円程度だったと思います。決して安くはないけど、ボリュームもあるし、満足感は十分。1週間に1回くらいのペースで通っていました。
でも、コロナ禍になったくらいから値上げが続き、お得感が目減りして、徐々に行かなくなりました。あと、いまのいきなり!ステーキは、リブロースステーキよりも安価な『ワイルドステーキ』が看板メニューになっています。個人的にはせっかくステーキを食べるなら、多少は“ごちそう感”がほしいんですが、そういう意味でワイルドステーキは物足りない」
4月のメニュー改定で、「リブロースステーキ」はアメリカ産からオーストラリア産に変更し、価格は150g=1800円、200g=2400円、300g=3600円、400g=4800円(路面・ロードサイド店、以下同)。一方の『ワイルドステーキ』は、150g=1390円、200g=1790円、300g=2390円、450g=3190円だ。
「安い価格帯で提供していたころのいきなり!ステーキを知っているので、いまの価格はどうしても割高に思えてしまう。あらゆるものが値上げしているので仕方ないとしても、やっぱり足が遠のいてしまいます」(Aさん)