まったくの想定外
行政書士で相続・終活コンサルタントの明石久美氏が語る。
「離れて住む子供はあてにできないし、子供に迷惑をかけたくないという人が多い。しかし、いざひとりになると経済面や病気、介護、葬儀、相続などあらゆる問題がのしかかってきます。夫婦が元気なうちに、どちらかがひとりになっても困らないように手続きを進めておかなければなりません」
別表にまとめたように、ひとりに備える手続きは多岐にわたる。なかでも優先順位が高いのが「お金」の管理だ。
2004年に妻に先立たれたジャーナリストの田原総一朗氏(90)が当時を振り返る。
「僕は家計と仕事の管理などは女房に任せていたから、先に亡くなった時はどうしようかと思った。僕ひとりだけだったら、困ったでしょうね。幸いにも仕事は次女が把握していたから、今は次女と三女が支えてくれて不自由はない。ただ、同志の女房がいなくなったことが一番悲しいです」
田原氏のように頼りになる子供が近くにいない場合、家計の切り盛りや身の回りのことを任せていた配偶者が死去したら、途方に暮れるケースは少なくない。
「まずは夫婦でどれだけの財産があるか把握し、通帳などの場所を決めておくことが大切です。将来、財産管理が難しくなった時に備えて、配偶者が預金を下ろせるように代理人カードを作っておくのも選択肢のひとつです」(明石氏)