東京大学が5月に「なぜ東京大学には女性が少ないのか?」というポスターを掲示し、話題を呼んだ。東大が女子学生を増やすためにはどうすればよいのか。現在、全国の多くの大学で、女子学生を増やすために「女子枠」を設けるなどの施策が進められているが、一部では反発の声も出ている。『中学受験 やってはいけない塾選び』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【前編から読む】
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東大は女子の合格者の割合が2024年で20.2%と低いことを打開しようと動き出し、今年の5月に「#言葉の逆風」という見出しのついた啓蒙ポスターを掲示した。ポスターには女子学生たちが実際にいわれた言葉が書かれている。「女子なのに東大?」「女の学歴に価値はない」。つまり、東大に女子が少ない背景には、女性への偏見や差別があるという見方を伝えたいのだろう。
これに対してはSNS上で「今どきそんな価値観ある? そんなことを言うのは少数派の変な人なのでは」という旨の疑問を呈する声も出ている。前回記事では、この「東大に女子が少ない」理由は「(女子に不人気の)工学部の定員が多いからではないか」ということを指摘した。2024年5月時点で、文学部は32.9%、教育学部は40%が女子。一方、工学部は13%、農学部は21.6%だ。
工学部の学生数は997人にも及ぶ。文学部は325人、教育学部は90人。農学部は235人。女子に人気がない工学部が文学部の3倍、教育学部の10倍の規模だ。女子に不人気の工学部の学生数が多いわけだから、全体として女子の割合が少なくなるのは当然だろう。