ドラッグストアがイオンの中核事業になるか
とはいえ、経済ジャーナリストの磯山友幸氏によると、40歳と若い尚也氏は「業界内ではまだ評価が固まっていない」という。同社に尚也氏の執行役就任は社長就任に向けた人事なのか尋ねると「将来のことについてはお答えできません」とした。
イオンはスーパー事業の好調などで業績を伸ばしているが、注目されるのが、ヘルスケア分野への進出だ。イオンは子会社にドラッグストア業界1位のウエルシアHDを持ち、同2位のツルハHDとの経営統合を目指し、協議を進めている。実現すればドラッグストア業界は「イオン一強」となる。磯山氏が言う。
「人口減少で既存の郊外型商業施設の先行きが見通せないなか、医療分野は規制緩和で次々と新しいサービスが生まれている。ドラッグストアはその拠点として成長する可能性があります。今後、ドラッグストアがイオンの中核事業になるか、注目が集まっている」
岡田家には「大黒柱に車輪をつけよ」との家訓がある。大黒柱の事業も不動のものではなく、常にその時の最適解を求める経営姿勢を指す。
「尚也氏が将来的に社長に昇格するとすれば、ドラッグストア業界再編という大きな変化にどう対応するかが問われるでしょう」(同前)
先行きが見通せない時代だからこそ、辣腕を振るえる創業家の力を求めているのかもしれない。
※週刊ポスト2024年7月19・26日号