葬儀社のスタッフまで涙を流す
プロジェクタを用いて、立体物に映像を投影する「プロジェクションマッピング」というビジュアル技術が、一般でも知られるようになって久しいが、冠婚葬祭の演出を手がけるファンテックスは、葬儀の演出にプロジェクションマッピングを応用している。
「弊社では結婚式の演出も手がけていて、結婚式では2013年からプロジェクションマッピングを取り入れました。結婚式の演出技術はだいたい10年遅れで葬儀に導入されることが多いのですが、弊社では業界に先駆けて2016年に『祭壇マッピング』というプロジェクションマッピングを使った演出のシステムを開発しました」(同社代表取締役・内藤欣哉氏)
しかし、プロジェクションマッピングというと、派手で絢爛豪華というイメージがある。結婚式はいくら派手でも構わないが、葬式で使うことに抵抗はなかったか。
「雄大な自然や、蝶や花の映像を用いて、厳かな雰囲気を壊さない演出に努めています。葬儀関連の展示会で、サイズを縮小した祭壇を作りデモをしたところ、来場された葬儀社の女性スタッフの方が何人か、感動して涙を流されたこともありました。
まれに読経をしていただくご住職が嫌がることもありますが、その際は読経の間は止めて、葬儀の開式や最後のお別れの会で行なうので、問題になったことはありません。参列者の方には評判が良く、今までクレームは1件もありません」(内藤氏)
葬儀に対する世間の意識も変わりつつある。『祭壇マッピング』の納入実績は約60社で、会館数でいえば150か所くらいだという。