快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

長澤まさみCMで認知度アップ、日本市場に本格参入したBYD コスパ良好なプレミアムセダンとして登場した「SEAL」の実力診断

ブランド力がかなり向上してきている

 日本での第1弾としてSUV「ATTO 3」とコンパクトカー「ドルフィン」の2台のBEVを発売したBYDですが、2023年1月から2024年5月までの累計受注台数は2300台を超えています。そしてここに来てのBYDの広告戦略が、これほど上手く運んでいるとは……。

 ある女性ライフスタイル誌の取材現場に、たまたま「ドルフィン」に乗って参加したときのことです。「あ、これですね、長澤まさみが乗っているヤツ」と、現場ではそれなりに高い関心を持たれたのです。さらに驚いたのは「これ、中国の自動車メーカーの電気自動車でね」と言ったのですが、「へぇ、コンパクトで可愛くて乗りやすそう」という感想は出てきても、「中国製」に対するアレルギーのような反応はほとんどなかったのです。

 白状すれば「そうですか、中国製ですかぁ」という感想が出て、欧州ブランドに対し高い信頼を寄せる女性達や周りのスタッフの話は、それ以上進展しないかもしれない、と予想していたのです。ところが最近の若者達や女性達の中に、中国製に対するアレルギーのような感覚は、予想に反して希薄だったわけです。確かに電化製品でも自動車でも、サプライチェーンプラニングにおいて「メイドinチャイナ」は欠かせない存在ですから、我が身の感覚も更新しなければいけないと少々反省しました。

 そんな中に登場した「SEAL(シール)」は、ちょっぴりポルシェのBEV、タイカンに面立ちの似たスポーツセダンです。モデルの構成はベースモデルとなるFR(後輪駆動/シングルモーター)と、4WD(4輪駆動/ツインモーター)の2仕様です。安さがひとつの特徴というわけですが、前述のようにシングルモーターが528万円、ツインモーターの4WDが605万円、どちらも「35万円」のCEV補助金(クリーンエネルギーヴィークル補助金)があります。シングルモーターは500万円を切ることになります。さらに日本導入記念として1000台限定で特別価格を設定したため、シングルモーターが495万円、4WDは572万円で上限に達するまで販売され、どちらのモデルも35万円の補助金があります。

 輸入車のDセグメントと言えばメルセデスCクラス、アウディA4、BMW3シリーズなどなど、世界的に見てもボリュームゾーンにあたります。エンジン搭載車の価格帯でもると400万~700万円と言ったところが中心。これがBEV(SUVも含めて)となると、やはり少なくとも1割以上はシールより高額となります。唯一、価格面で戦えるBEVとすれば、500万円台で揃えた「テスラ・モデル3」と言ったところで、おまけにテスラのCEV補助金は65万~85万円となっています。

 ちなみにこうしたメーカーや車種によって補助金に差が出るのは航続距離などの電費性能や、充電ネットワークなどのインフラ整備の貢献度が評価されたため。テスラはスーパーチャージャーという独自の充電施設を全国に展開していますから、それも評価されたのでしょう。当然ながら国産勢のBEVは日産を筆頭に充電網を現在拡充していることもあり、85万円のCEV補助金が出ます。

 割高なBEVをお手頃に、ということで「シール」も、これから支持率が向上するのは間違いないでしょう。では、プレミアムセダンとしての仕上がりはどうでしょうか?

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