「テキストは全部コピーさせて」と理不尽な要求
カスハラを受けるのは、成績や受験に起因する場合だけではない。谷口さんは、「費用の件で、口コミに理不尽な評判を書かれた」とため息をつく。
「塾では、授業で使うテキストを買ってもらうことになっていて、入塾時にもその旨と概算費用は伝えています。でもある時、一人の子が『これ以上塾代をかけられないから、テキストは全部コピーさせてほしい』と言ってきました。テキストを忘れた時の数枚ならいざ知らず、一冊丸ごとを4教科分です。
それはできないと言うと、泣きそうな顔をする。一旦親と話をする場を設けると、親が『コピーは塾のサービスですよね?』と言ってテキスト一式をタダにしようとしてきました。つまり、『コピーさせて』も親が子供に言わせていたんですね。他の生徒にも皆買ってもらっていることを何度も説明してお引き取り願いましたが、ネットの口コミに『ケチ』とか『経営が苦しそう』などと勝手なことを書かれました」
その子はその後塾を辞めたが、その理由は「お金がかかるから」だった。谷口さんは、「周囲に流されず、費用面もきちんと理解して入塾してほしい」と話す。
子供を塾に丸投げしたところで、本人の意思や家庭での勉強の姿勢が伴わない限り、学力や成績は上がらない。そのうえで、費用面についても納得したうえで入塾させないと、トバッチリを食らうのは子供自身ではないのだろうか。(了)