京セラのセラミックや村田製作所の部品は清水焼がルーツとされ、ロームなどが手がける半導体のスクリーン印刷技術のベースには友禅染の型紙彫刻があるとされる。歴史と伝統に裏打ちされつつも、人真似をしない気質から次々と新しいものが生み出されてきたというのだ。
「質が良い分、価格はそれなりに高くなる。お客が一時的に離れることもありますが、最終的に“ほんまもん”に戻ってくる。そもそも価格ではなく、独創的な技術力で勝負しているのです」(堀場氏)
失われない創業精神
京セラやKDDIを創業し、JALを再建した稲盛氏、数々のM&Aで業績を拡大させたニデックの永守重信・グローバルグループ代表をはじめ、強烈な個性のカリスマ経営者が多いことも特徴だ。前出・堀場氏が続ける。
「私もかれこれ30年以上トップとして経営に携わっていますが、京都の経営者は社長・会長を長期間務める“オーナーズマインド”を持つ人が多いように感じます。永守氏は叩き上げの経営者で、私のような2代目経営者とはあまり付き合わないようにしていたようですが、一度、『京セラより10メートル高くした日本電産のビルを見せてください』とお願いしたら、『せっかくだから何人か連れて来なさい』と言ってもらえた。
それで2代目社長ばかり7~8人連れて行くと、『ようこんな短期間で人を集められたね』と言ってくれて、夜には贔屓の料理屋に連れて行ってくれました。ユーモア溢れる経営者が京都にはたくさんいます」