カラスに襲われたという被害例は全国で報告されている。しかし野生の鳥獣は、「鳥獣保護法」で保護や管理、狩猟の適正化が規定されている。カラスの襲撃に応戦すると、法律違反になってしまうのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する
【質問】
通勤の道すがら、カラスに襲撃されて困っています。どうやらカラスは、人の顔を覚えているらしく、私が歩いていると飛来し、突こうとします。カラスも野鳥ですから、傷つけてはいけないのは理解していますが、執拗な攻撃が続くと身の危険を感じます。こういう場合、鞄や傘で応戦してもかまいませんか。
【回答】
鳥類、又は哺乳類に属する野生動物については、『鳥獣保護法』がその保護や管理、狩猟の適正化を規定しています。
同法第8条では鳥獣の捕獲、卵の採取やこれらの損傷を禁じており、違反すると、処罰されます。
例外は学術研究の目的、鳥獣の保護、又は生態系管理の目的、動物園などの許可を得た場合の他、鳥獣保護区域や休猟区以外の狩猟可能区域で、法の定める方法での狩猟です。野生のカラスにも、この法律が適用されます。そのため、例外に当たらないのに、カラスを損傷させたら、処罰されます。