野生のサルが食べ物を求め、住宅地にやって来るニュースがしばしば報道される。作物を食い荒らす野生のサルに対し、ロケット花火やエアガンを使い追い払うケースもあるようだが、動物愛護法などで罰せられる可能性はないのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。
【相談】
昨年、都内に野生のサルが出没し、大騒ぎとなりましたが、私の地元では頻繁に見かけます。見かけるだけならまだしも、庭の柿を食い荒らしたり、迷惑をこうむっています。今度、庭の柿を狙って姿を現わしたら、エアガンで追っ払ってもよいですか。それとも、動物愛護法で罰せられてしまいますか。
【回答】
鳥獣の保護や管理、狩猟の適正化を目的とする『鳥獣保護管理法』は鳥類、または哺乳類に属する野生動物を対象とするので、野生のサルにも適用されます。
この法は哺乳類であればクマ、イノシシなどの食肉、または毛皮の目的や管理目的などで捕獲、または殺傷(「捕獲等」)できる野生動物を「狩猟鳥獣」とし、同法が定める狩猟許可を得て、鳥獣保護区域や休猟区以外の狩猟可能区域にて、狩猟期間中に法の定めた方法で行なう狩猟を認めています。
ただ、野生のサルは狩猟動物に含まれず、狩猟許可を得ても、捕獲等できません。違反者は1年以下の懲役、または100万円以下の罰金で処罰されます。しかし、環境大臣や知事の許可を得ての学術研究、鳥獣の保護、または管理などの目的でする捕獲等は可能です。