新競技の盛り上がりもプラス
では、どんな銘柄を選べばよいか。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が言う。
「まず注目したいのは、IOC(国際オリンピック委員会)が管理する『ワールドワイドパートナー』に選ばれているパリ五輪のスポンサー企業です。この最高位スポンサーになれば、五輪関連のマークやロゴを使った自社製品の宣伝ができる。社名の世界的な露出が増え、世界最先端の技術やサービス提供に関する市場への浸透力向上が期待できます。今回、ワールドワイドパートナーとなったトヨタ自動車、ブリヂストン、パナソニックホールディングスの3社は注目でしょう」
(以下、図表で「パリ五輪で上昇期待の日本株15銘柄」を紹介)
トヨタは大会期間中、関係者やボランティアなどが使用する電動車を2650台以上提供し、それら公式運営車両などにブリヂストンのプレミアムタイヤが装着される予定だ。パナソニックは会場を彩るAV機器を提供するといったかたちで、日本企業の製品が世界に向けてアピールされる格好になるのだ。
加えて岡山氏は、JOC(日本オリンピック委員会)が管理するパートナー企業からもアシックスを注目銘柄に挙げた。前述の通り、パリ五輪・パラリンピックに出場する日本人選手団のオフィシャルスポーツウェアを提供するなどして、大会期間中の存在感が高まる。
「他にも、パリ観光の需要が期待される航空業界は、インバウンド関連銘柄として注目されるなかで、パリ五輪の盛り上がりが追い風となる可能性があります」(岡山氏)
カブ知恵代表の藤井英敏氏は、日本国内の消費拡大に目を向ける。
「日本人選手の活躍次第で大きな浮揚効果が期待できる業種としては、友人・知人と集まって観戦する“場”を提供できる飲食業が挙げられます。大画面のプロジェクターやスクリーンが完備された英国風パブ『HUB』を運営するハブなどは、積極的な出店攻勢を続けており、各競技で日本勢が躍進すれば、大きな集客効果が望めます」
岡山氏、藤井氏が挙げた注目銘柄は別表にまとめた通りだ。
「個別の競技では、金メダルへの期待が高まるスケートボード、ダンスを競う新競技・ブレイキンなどの関連銘柄を挙げました。日本人選手が金メダル級の活躍をすれば、関連業界の盛り上がりは必至でしょう」(藤井氏)
投資を検討する人たちにとっても、“勝負の夏”がやってくる。
※週刊ポスト2024年8月9日号