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【虫歯治療の実情】健康な歯を削られて高額治療に誘導されないために知っておきたい4つのポイント

【2】セラミックのインレー治療は必要か

 歯科医の中では、今でもレジンよりセラミックのほうが歯科治療の材質として優れている、という考え方が根強い。そして患者にはこう説明する。

「セラミックには汚れが付かないが、レジンはプラスチックで汚れが付きやすい。水分を吸収して劣化や変色するし、強度もない」──これについて田上氏は、次のように反証する。

「セラミックの表面に汚れが付着しにくいのは事実です。ただしレジンの素材は、重量比の8割がセラミック粒子です。純粋なプラスチックではないので、汚れが付きやすい、というのは必ずしも当てはまりません。そもそも天然歯のエナメル質も水分を含んでいます。

 また、レジンはすぐ壊れる、と言う歯科医は治療が適切ではないのかもしれません。レジンは光を当てて固めますが、距離の二乗に反比例して光は弱くなります。光を当てる距離を間違うと、本来の強度が得られません。しっかりとした歯科医なら『間接法』のインレーは、すべてレジンで対応できると思います」

【3】患者の同意を得ずに、神経を抜く(抜髄する)

 虫歯の痛みで歯科医院に駆け込む人は、今も絶えない。この時、患者に説明や同意もないまま、安易に神経を抜く(抜髄する)歯科医が少なからず存在する。抜髄によって痛みは早く治まるので、患者に感謝されることもあるが、一方で歯の寿命自体は短くなりやすい。また、抜髄に際しては、複雑な処置が必要になってくる。

「高額なセラミックやジルコニアを使う治療になることもあるので、根管治療を丁寧にやることは重要です。根管治療はファイルという器具で、歯根を通る根管の内側を薄く削りますが、適切に行なわないと歯根にヒビが入り、割れてしまう。そうなると、基本的に抜歯です」(田上氏)

 保険診療では歯髄温存療法という、神経を残す治療があるが、診療報酬は約1880円。手間と時間に見合わない金額だという。

 一方、抜髄は約6000円(3根管)で、根管治療に付随してセラミックのクラウン(被せ物)などの治療も発生する。歯の痛みで受診する際は、「神経は残したい」と自分の意思を明確に伝えておくべきだろう。

次のページ:【4】根管治療の成功率は、5割未満
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