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歯科治療の現場で起きる深刻なモラルハザードの実態「不要な治療が横行」「売上ノルマを設定」…“虫歯の激減”も要因の一つに

いま歯科治療の現場で何が起きているのか(写真:イメージマート)

いま歯科治療の現場で何が起きているのか(写真:イメージマート)

 歯は毎日の生活に欠かせないものであり、一度失ってしまったら自力では再生できない“一生もの”だ。だからこそ、定期的なケアや治療が何より重要だが、近年は杜撰な治療を行う歯科医もいるという。『やってはいけない歯科治療』の著者で、“歯科業界に最も嫌われるジャーナリスト”の異名を持つ岩澤倫彦氏(ジャーナリスト)がレポートする。

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 今、歯科治療の現場で深刻なモラルハザードが起きている。首都圏の歯科大関係者が匿名を条件にこう明かした。

「他の歯科医院で『虫歯をセラミックで治療するので、次回は5万円を用意してください』と言われたが、痛みもないし、何か変だと思って、私のところに来た患者がいました。そこで虫歯があると言われた歯をレントゲン撮影しましたが、虫歯は影も形もありませんでした」

 他にも、「インプラント治療しかない」と言われて不審に思いやってきた患者を診断すると、抜歯する必要性は全くない状態だったという。

「勤務先の歯科医院から“売り上げノルマ”を課せられていると話す教え子(歯科医)もいます。患者に不必要な治療が横行する原因の一つでしょう」(前出・歯科大関係者)

 ある歯科医院では、各スタッフの“売り上げ”グラフが貼り出されているのを筆者は目撃した。今年、歯科医院の倒産・休廃業が過去最多の勢いで急増している。帝国データバンクによると1~6月に85件の歯科医院が倒産・休廃業した。例年の倍近いペースである。要因の一つは虫歯の激減だ。30年前、15~19歳で虫歯がある割合は約95%だったが、現在は45%と半減した(厚生労働省・歯科疾患実態調査)。

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