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《歯科治療「自費診療」の落とし穴》有効性が証明されていない治療も横行 “自費診療の枠でやる限りには規制されない”制度上の問題も指摘

 民放のテレビ番組でも“歯を削らずに治す”ものだとして紹介されたという。論文もメーカーのサイトも見つからないが、この療法を推奨する歯科医の著書などでは、「殺菌作用のある銅2%、鉄1%、ミネラルなどが含まれるセメント」に溶剤を混ぜてペースト状にし、きれいに洗った虫歯の穴に詰めることで虫歯菌が死滅、歯の再石灰化を促すのだという。こうして、歯を削らずに神経(歯髄)を残したまま、虫歯を自然治癒力で治すというのだ。

 この療法を喧伝する画像では、表面のエナメル質が虫歯で深くえぐられ、神経が露出した状態の歯が1年後、すっかり健康な状態に戻ったと紹介されている。う蝕(虫歯)治療の世界的な権威である東京医科歯科大・前副学長の田上順次氏(現・クオーツデンタルクリニック院長)に、この奇妙な画像を見てもらった。

「もし再石灰化が起きたとしても、歯の形や強度が回復することはあり得ない。レジンかセラミックで修復したものです」

歯周病の分野にもエセ歯科治療が横行

 この療法を使用する歯科医は、全国各地にいる。これ自体の費用は1万~3万円程度だが、セラミックやジルコニアの被せ物などが加わると、10万円を超える。歯科医院には利益になるのだろう。前出の高田氏はこう述べた。

「基本的に虫歯菌に感染した軟化象牙質は取り切らないと、虫歯の再発リスクになります。ちょうど今年の7月、歯髄保護のガイドラインが公開されて、歯髄保護のエビデンスがある材料や治療法が記載されていました。もちろんこのセメントの療法は載っていません」

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