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《歯科治療「自費診療」の落とし穴》有効性が証明されていない治療も横行 “自費診療の枠でやる限りには規制されない”制度上の問題も指摘

 歯髄をなるべく抜かずに保護する治療法は、すでに有効性が確認されたものがある。そちらを選択してほしい。

 歯周病の分野にもエセ歯科治療が横行している。例えば「歯周ポケットに溜まった毒素(膿)を除去して、自己免疫力を高める」とされる治療が全国100以上の歯科医院で行なわれている。だが、前述の通り、歯周病治療は歯周ポケット内のバイオフィルムや歯石を除去するSRPと患者のセルフケアで十分に治る。

 なぜ、この療法をやっているのか、クリニックの一つに取材を申し込んだが、頑なに拒否された。根拠のない治療でも、自費診療は規制されないという前提を理解して、注意する必要があるのだ。

【プロフィール】
岩澤倫彦(いわさわ・みちひこ)/1966年、札幌市生まれ。ジャーナリスト。報道番組ディレクターとして救急医療、脳死臓器移植などのテーマに携わり、「血液製剤のC型肝炎ウィルス混入」スクープで、新聞協会賞、米・ピーボディ賞。著書に『やってはいけない歯科治療』(小学館新書)などがある。最新著書は『がん「エセ医療」の罠』(文春新書)。

※週刊ポスト2024年8月9日号

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