ビジネス

【物流2024年問題】価格転嫁率は27.8%! 運転手の賃上げで倒産リスクが高まる運送業界の袋小路

大型トラック運転手の労働は平均より月37時間長い

大型トラック運転手の労働は平均より月37時間長い

「物流崩壊」は想定より早く到来するかもしれない

 実際に、2023年時点で運送会社の倒産が急増している。東京商工リサーチによれば2023年の道路貨物運送業の倒産は2014年以降最多となる328件(前年比32.2%増)にのぼったのだ。このうち、運転手などの人手不足関連の倒産が41件で前年比127.7%と大幅に増えた。

 2023年の倒産件数が急増した主な要因は、運転手不足による機会損失に、人件費や燃料費の高騰が重なったことであるが、「物流2024年問題」を契機に業界の本格的な縮小が始まったということに他ならない。しかも、トラック運送業界の新陳代謝は著しく、倒産するところがある一方で新規参入も多いのだが、近年は新規参入事業者数の伸びが鈍化し、横ばい状態となっている。物流崩壊は多くの人が想定するより早く到来するかもしれない。

 全日本トラック協会によればトラック運送事業者の9割が中小企業である。社会的要因でコストが膨らんだとしても、大口の荷主との価格転嫁交渉はしづらい。帝国データバンクが2024年2月に行った実態調査では、運輸・倉庫業は27.8%と価格転嫁率が低い。コスト上昇分のおよそ4分の3弱を運送会社側が負担しているということだ。

 トラック運転手不足はいまに始まったことではない。年間所得額は全産業平均と比較して4~12%低く、労働時間が長い。若い世代や女性に不人気で、40歳未満は就業者数全体の24.9%(2023年時点)だ。50歳以上が49.8%を占めるいびつな年齢構成となっている。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。