河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【物流2024年問題】価格転嫁率は27.8%! 運転手の賃上げで倒産リスクが高まる運送業界の袋小路

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)

 トラック運転手が長時間労働となっているのは、荷主の都合を優先するからである。荷待ち時間や荷役作業など、運転時以外に拘束時間が長い。背景には事業者間の競争が激しく、荷主の立場が圧倒的に強いことがある。仕事を切られることを恐れて、利益率が低く面倒な発注でも引き受けるところが少なくない。

 こうした関係が続いてきたことで、多くの荷主に輸送コストは可能な限り削りたいという意識が働きやすくなった。納品までのリードタイム(発注から納品までにかかる時間)が短くなったり、配送時間を指定したりするなど荷主の依頼条件はだんだん厳しくなっている。運送会社は同じ方面の荷物をまとめて運ぶといった効率的な配送計画を立てづらくなり、経営的なダメージは小さくないのだ。

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)など著書多数。最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』(小学館新書)では、「今後100年で日本人人口が8割減少する」という“不都合な現実”を指摘した上で、人口減少を前提とした社会への作り替えを提言している。

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