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日経平均“大暴落からの急反発”は「デッド・キャット・バウンス」 調整は始まったばかりで「地獄の底は誰にもわからない」の指摘

大暴落の翌日に急反発した日経平均株価(時事通信フォト)

大暴落の翌日に急反発した日経平均株価(時事通信フォト)

 歴史的な大暴落からの急反発──。8月5日、日経平均株価は4451円も暴落し、1987年10月の「ブラックマンデー」(3836円安)を超える過去最大の下げ幅を記録した。しかし、翌6日には一転、一時3400円を超える(終値で3217円高)急反発を見せ、その上げ幅もまた「ブラックマンデー」翌日(2037円高)を超える過去最大となっている。日替わりで歴史的な暴落と急騰を繰り広げる、まさに先の読めない展開をみせているが、いったい今後の推移はどうなっていくのか。

 カブ知恵代表の藤井英敏氏は、今回の大暴落の要因を、次のように分析する。

「米国の雇用統計が市場予想を大きく下回ったのをはじめ米国経済の先行き懸念が高まったことなどが背景にあるとはいえ、一番のサプライズは日銀の利上げです。実質賃金のマイナスが2年以上も続き、消費も低迷するなど各種経済指標をみても利上げできる環境にないのに、まさか利上げに踏み切るとは思わなかった市場関係者は少なくない。6月の金融政策決定会合では国債買い入れの減額方針を打ち出し、7月の会合で具体的な減額計画を示すとされていたが、利上げまでは想定されていなかった」(以下「」内は藤井氏)

“植田ショック”ではなく“岸田ショック”

 なぜ、そうまでして日銀は利上げに踏み切ったのか。

「160円台の円安が続き、財務省が為替介入に乗り出すなか、自民党の茂木敏充・幹事長や河野太郎・デジタル相から『円は安すぎる』と日銀に利上げを迫る発言が相次ぎ、それらを忖度した日銀が利上げに踏み切った格好でしょう。そもそも日銀は表向き『独立した中央銀行』ですが、実質的には“財務省の子会社”のようなもの。子会社の社長である植田和男・日銀総裁が“親会社”に盾突けるわけがない。

 日本経済の現状をみれば利上げできる理由はないはずなのに、それでも踏み切ったのは日米金利差を縮小して円高にしたかったから。そのための利上げにすぎない。今回の歴史的な株安を“植田ショック”と見る向きもありますが、日銀にはそこまでの主権はなく、本来は政権を率いる立場の“岸田ショック”というべきでしょう。円高・株安を招いたのは植田総裁のように見られることも多いが、それでは“トカゲのしっぽ切り”にしかならない。岸田首相率いる政府そのものの責任の方がよほど大きいわけです」

 利上げによる円安解消に意欲を示す政府の思惑と同時に、米国では景気の先行き懸念が高まり、円安を主導してきた円キャリートレードの巻き戻しによってドルを売って円を買い戻す動きが一気に広がった。そして好調が続いてきた輸出企業に円高による収益悪化が懸念され、日本株が大きく売られた格好だ。

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