6日の急反発は「デッド・キャット・バウンス」
いったいどこまで下がるのかと不安に覆われたのもつかの間。翌6日には日経平均が一時3400円を超える急上昇を見せた。これを機に一気にV字回復するのかと期待する声もあがるが、藤井氏は「相場はそんなに簡単じゃない」という。
「これはさすがに売られすぎたことへの反発にすぎない。『デッド・キャット・バウンス』といって、死んだ猫でも地面に当たればバウンドするという相場格言があるように、調整局面での一時的な反発とみた方がいい。5日の歴史的な大火事から逃げようと誰もが出口に殺到して、ようやく外に逃げて一安心したにすぎません。
確かに値幅だけをみれば、5日の下落から3分の2を戻した格好ですが、だからといってここから大きく上昇基調に転じるとは考えにくい。まだ調整は始まったばかりで、おそらくこの先9~10月にかけて調整局面が続くのではないか。日経平均は場合によっては3万円を割り込み、2万8000円になってもおかしくない。もっといえば、日経平均の200日移動平均線では3万6000円台となっていて、これより上に行けば天国だが、下に行けば地獄。地獄の底は誰にもわからないので、もっと下がる可能性もないわけではない。
ただし、ここ数日のボラティリティ(変動幅)があまりに急激だったので、下がるとしてもジリ安の展開ではないか」
11月の米大統領選を経て再び上昇基調に転じるか
日経平均は7月11日につけた史上最高値の4万2224円から約3週間で1万円以上(約25%)も下落し、いったん急反発したとはいえ、上昇基調に転じたわけではないという見方だ。「だからといって、このまま下がり続けるわけでもない」と藤井氏は予想する。
「11月の米大統領選で新しいリーダーが決まれば、いずれにしろ支持率維持のためには経済を安定させることが必須となる。米国経済の安定は日本経済の安定につながるので、長い目でみれば株価も上昇基調に転じるはず。この先、徐々に下値と上値を切り上げていって上昇トレンドを描くとみています。“高く飛ぶためには思いっきり低くかがむ必要がある”といわれるように、いまはまさに思いっきり低くかがんでいるところではないでしょうか。
今回の大きな調整を経て、長期的には日経平均が再び高値を更新していく、というのが私の見方です」
株式市場の乱高下に投資家たちは翻弄されている。日経平均が再び最高値を更新する日は来るのか──。