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「時期尚早すぎた」日銀の利上げが日本経済に与える負のインパクト デフレ脱却への期待感は一気に剥落、株価乱高下で新NISAブームにも冷や水

7月11日には1米ドル=161円台で推移していたが、その後急速に円高が進んでいく(TradingViewより)

7月11日には1米ドル=161円台で推移していたが、その後急速に円高が進んでいく(8月6日時点/TradingViewより)

 その結果、為替は円高に振れ、輸出関連企業を中心に業績悪化懸念が高まり、日経平均は大暴落。ただし、問題はそれだけでは終わらない。

「一番の問題は、日本国内の個人消費マインドの高まりが当面望めなくなったことです。都内の不動産価格がバブル超えするなど上昇が続くなか、住宅ローンの金利上昇が見込まれて不動産購入の意欲は薄れる。コロナ対策として配られた補助金なども貯蓄に回っただけで消費には回っていない。それがようやく消費に回るチャンスも先送りされてしまった格好です」

新NISAブームから想起される、かつてのバブル崩壊

 さらに、岸田政権は「貯蓄から投資へ」を掲げ、「資産所得倍増プラン」の一環として今年1月から新NISA(少額投資非課税制度)を始めた。日本証券業協会によると、主要証券会社10社の今年6月末のNISA口座数は1520万件。実に日本人の8人に1人がNISA口座を開くほど投資ブームは高まっているが、そこにも冷や水が浴びせられた格好だ。

「岸田政権に踊らされて投資を始めた初心者には動揺が広がるばかり。その流れに冷や水を浴びせたのは日銀の利上げですが、そもそも誰が音頭を取ったのかという問題から目を背けてはいけない。

 ただ、踊らせた方はもちろん、踊らされた側も考えるべきところはあるかもしれません。かつてバブルの頃には『日経平均が上がっているらしいから株を買いたい』とか『NTT株が儲かるみたいだから初めて買ってみた』といった、よくわからずにお金を投じた投資家が相次ぎ、バブル崩壊に飲み込まれていった。

 いまも『米国の“S&P500”や“オルカン”が人気だから買ってみよう』とか、成長投資枠の個別株投資で一番人気はNTT株だったり、あの頃と似通った状況がある。“新NISAというバスに乗り遅れると損”みたいな考え方で安易に手を出しても、株価は上下動するのが当たり前で、そう簡単に儲かるわけではない。資産運用の基本は『長期・分散・積立』ですから、いま一度冷静になる必要があるでしょう」

 日銀の利上げが日本経済に与えたインパクトはとてつもなく大きい。

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